Dr.よしゆきのつぶやき No.23
残暑が続く中、熱中症など体調管理はいかがでしょうか。
さて、前回に引き続き北海道マラソンの話題です。
8月26日、北海道へ台風19号、20号が近づき開催自体が危うい状況でしたが、飛行機も無事に飛び、天候も曇りで直射日光ではなく、真夏のフルマラソンとしてはちょうど良い天気でした。
金曜日は市民病院の当直で土曜日はそのままクリニックの診療、なんとか飛行機も飛びそうなので、急いで用意して伊丹空港へ向かいました。
大阪の天気は快晴でしたが、北海道の天候は雨、台風の影響で時折強風が吹いていました。
新千歳空港から札幌駅に向かい、前日20時までにゼッケン受付を済まさなければならず、時間もギリギリでした。
なんとかゼッケンを受け取り、夜ごはんは札幌ラーメンを食べ、フルマラソン本番に備えました。(グルメリポートは前回のブログ参照)
当日の天候は曇り、気温23度。
前日の激辛ラーメンでお腹の調子はイマイチでしたが、気合を入れて走りました。
北海道マラソンは東京オリンピックの選考会でもあり、コースはとても走りやすくサポートも充実していました。
真夏のフルマラソンでもあり、スポンジも4箇所ほどで提供していたため、とても助かりました。
直射日光ではなかったことも幸いでした。
初めての真夏のフルマラソン。
とにかく完走をめざしました。
キロ5分40秒くらいのペースをたもち、最後まで歩くことなく完走できました。
記録は4時間6分でした。十分、満足できるタイムです。
フルマラソンの醍醐味はやはり、25キロから。
それまでは音楽を聞きながら、ランニングを楽しみます。
30キロあたりからは本当に苦しいのです。
イヤホンをはずし、自己対話の時間です。
私はこのとき、患者さんのことを考えます。
人の苦しみはその人にしか分からないことだと思います。私は偽善者ではありません。
フルマラソン30キロからの12キロ。
自分自身を最大限に苦しめます。
体力的にも精神的にも限界です。
でも、患者さんやその家族はもっともっと苦しんでいるのです。
その方達の気持ちを少しでも理解するには自分を苦しめる以外はないと思います。
どんなに困難な状況でも、それに打ち勝つ精神力を養わないといけません。
調子の良いときに良いパフォーマンスができるのは当たり前です。
いかにピンチのときに頑張れるか。
主治医が諦めたらそこで終了。
患者さんが諦めてもそこで終了。
人はいつか死にます。
けれど、最後まで諦めない気持ち、頑張る気持ち、綺麗事ではありませんが、できることを最後までやり通すのです。
マラソンはそれを教えてくれます。
正直、マラソンなんて好きでやってるわけではありません。
ハーフマラソンは競技として楽しんでいますが、フルマラソンは過酷な試練でしかありません。
なにも楽しくありません。
しかし、完走したときには、必ず号泣しています。
なんで泣くのか、自分でもよく分かりません。
けれど、なんとなく、人生を歩む、生きるって、こういうことなんかなと、いつも思います。
今回のレースは、先日亡くなった患者さんのことを考えて走りました。
その患者さんは大変若くして亡くなりました。
けれど、最後まで全力で戦い抜きました。
彼女の笑顔、がんばり、精神力、、それを支えた家族や友人、、、
人はいつか死にます。
私は癌で死ぬことは、悪い死に方ではないと思っています。
自分が生まれてきた以上、死についても、しっかり向き合うことが許されるのが癌死だと思います。
それは辛いことかもしれませんが、少なからずの時間を与えてもらえます。
死ぬまでの残り時間を宣告されることが良いことかどうかもわかりません。
けれど、自分、家族、友人、、最後の時を大切な人と過ごすことができます。
その患者さんはまさに愛に恵まれた人でした。
多くの人に囲まれて天国に旅立ちました。
ご冥福をお祈りしています。
外科医である限り、マラソンを続けようと思っています。
これからも全力で精進いたします。